在宅ワーク/リモートワークにおけるWeb会議の音質と耳の保護の両立

PC

背景

在宅ワーク、リモートワークへの労働環境のシフトに伴い、自宅からのWeb会議が急増。

そしてWeb会議ならではの問題に直面し、自分なりに改善策を探ってきた。

その選択肢の整理と、自分にとっての答えに辿り着いたため、それをまとめる。

前提環境

自宅から一人でWeb会議に参加する環境における問題に絞っている。

従い、コワーキングスペースやカフェや、職場からの参加は想定外とする。

また、家の家族がうるさいなどの問題もここでは取り扱わない。

Web会議ツールは以下を使用している。

  • Microsoft Teams(メイン)
  • Zoom(サブ)
  • WebEx(サブ)

PC内臓マイク/内臓スピーカ(初期の環境)

初期のWeb会議環境はとにかく酷かった。

ノートPC内臓マイク、内臓スピーカで行っていた。

ノートPC内臓マイク、内臓スピーカ環境

使っているPCはこれ。【Lenovo ThinkPad A285】

※OBSは会議録画用

ノートPC内臓デバイスの問題点

<相手側>

  1. こちらのマイク音質が悪い
    普通に声が聞き取りにくい
  2. 相手の声が相手にエコーバック(※)する
    ※スピーカから出た音がマイクに入力され、発言者の声が発言者へエコーする現象
     自分の声がワンテンポ遅れて聞こえ、静かな環境で話せないため非常にストレスになる
  3. こちらのキータイプ音が相手にダイレクトに振動まで伝わる

<自分側>

  1. スピーカーの音質が悪い

エコーバックやタイプ音のせいで相手にストレスを与えることが多い環境。

逆に相手がこの環境の場合、こちらがストレスを受け、強く改善を望む気持ちになる。

Web会議ツールのミュート機能を使うことである程度改善できるものの、そもそも快適にWeb会議をするための環境ではない

イヤホンマイク/ヘッドセット(1年ほど運用継続)

有線イヤホンマイク or Bluetoothイヤホンマイク or Bluetoothヘッドセットの環境。

しばらくはこの環境を使っていた。

ノートPC内臓マイク/スピーカ時の問題はほぼ全て解消されたが、新たな問題が発生。

ヘッドセット/イヤホンマイク環境

使っているヘッドセット、イヤホンマイクはこれ。

【SONY WH-1000XM4】

【SONY WF-1000XM4】

【SONY WI-1000XM2】

イヤホンマイク/ヘッドセットの改善点と問題点

改善点

  1. マイク音質向上
  2. エコーバックの改善
  3. キータイプ音の改善
  4. スピーカ音質向上

問題点

  1. 長時間会議で耳が痛くなる。⇒外耳炎にもなった
  2. Bluetoothの場合、会議中にバッテリー切れになることもある

骨伝導イヤホンマイク

耳の痛みを何とかしたいと思っていた矢先、友人が【骨伝導イヤホンマイク】を購入。

以前家電量販店でお試しした時は、すこぶる音質が悪く、商品価値はないと思っていた。

しかし、Web会議環境における耳の痛みという切実な状況の中においては、その商品価値を見直すこととなった。※実際、最近よく売れているらしい。

特徴としては、耳に直接つけることはなく、こめかみより少し下あたりに装着するようになっている。

友人の買ったものを試させてもらったところ、実際には骨伝導2割、スピーカー8割という感じで、なんちゃって商品のように思えたが、耳の痛みからは解放されるように思えた。

※長時間試せていないため、こめかみ下が痛くなるかどうかは不明。。。

Web会議用スピーカーマイク

骨伝導にも興味が出てきたが、やはり物理的に体から離せるものが確実と思い、Web会議用スピーカーマイクの検討を始めた。

これに至ってはまさにWeb会議のために作られたものであり、一番手っ取り早そうに思えた。

しかし、実際に職場でも使っている経験から言うと、微妙である。

職場で使っている製品は【YAMAHA YVC-330】

実売5万円弱もする製品ではあるが、通話相手としては音質が悪く聞き取りづらい。

原因ははっきりしないが、Web会議用スピーカーマイクは、多人数での使用を想定されて作られており、無指向型になっている上、マイクから離れた発言者の声を拾う特性となっている。つまり環境音を拾いやすい。

また、ノイズリダクションが内蔵されていることが多く、それが悪さをしている可能性も考えられる。

マイクとスピーカが一体になっていることを生かして、エコーキャンセラーがついているのが特徴。

それゆえ相手と同時に話すとエコーキャンセラーが悪さをすることもあるかもしれない。

外部マイク+外部スピーカ

色々と検討、経験を重ね、音質と耳の保護の両立を図るために行き着いたのは、外部マイクと外部スピーカの組み合わせとなる。

今回はカーディオイド型の単一指向性マイクとディスプレイのスピーカを組み合わせた。

この組み合わせなら絶対に耳は痛くならないし、音質もそれなりに確保できると考えた。

外部マイク/外部スピーカ環境

マイクについて

カーディオイド型のコンデンサマイクは指向性を持っており、後ろ側の音を拾いにくい特徴を持っているため、スピーカーをマイクの後ろ側に配置することでエコーバックが発生しにくくなっている。
※実際に職場の通話相手に確認したところ、「エコーされずにクリアに聞こえている」とフィードバックをもらった。

カーディオイド:Cardioidとは | 偏ったDTM用語辞典 - DTM / MIDI 用語の意味・解説 | g200kg Music &  Software
カーディオイドイメージ図

使っているマイクはこれ。【HyperX SoloCast】

※使用環境によっては、スーパーカーディオイド型の方が良かったり、そもそもコンデンサマイクでなく、ダイナミックマイクの方がいいかもしれないが、 【HyperX SoloCast】 は、マイク本体に静電式ミュートボタンがついており、Web会議ではこの機能が捨てがたい。

今回使用したマイクは音質は気に入っているものの、低音を拾いやすい周波数特性を持っているため、振動が防げるよう【マイクアーム】も設置した。

マイクアーム

しかし実際に使ってみると、マイクアームを使っても尚、重低音を拾ってしまうため、【REAPER】を使用してソフトウェアフィルタをかけることにした。

この場合、REAPERの入出力にデバイスを設定する必要があるため、【Virtual Audio Cable】という仮想デバイスをセットアップしてオーディオラインをPC内でループさせるように構成する。

外部マイク+REAPER

マイク入力フィルタ

REAPERの環境を整えたら、波形を見ながら振動を入力し入力特性を把握。

100Hz以下が不快な重低音の原因と判明した。

次に自分の声を入力し、周波数特性を把握。主に100Hz以上であると判明。

100Hz以下をカットしても問題ないことを確認し、HPF(ハイパスフィルタ)をかける。

カットオフ周波数は100Hzから始め、振動と自分の声を入力しながら自分の気に入る音になるよう調整する。

結果的に200Hz付近に落ち着いた。

REAPERのFirによるEQ設定

ついでに家の中の換気扇や冷蔵庫などの環境ノイズも除去し、できるだけ自分の声がクリアに入力できるようフィルタ処理も行っている。

マイク入力をキャプチャし、キャリブレーションするような仕組みでその音を除去するようフィルタ設定できるためとても便利。

REAPERのFirによるSubtract設定

スピーカについて

スピーカの方は音質に優れた外部スピーカを接続することが望ましいが、自分が使っているディスプレイのスピーカが結構よさげなため、それをそのまま使用している。

大抵の場合、ディスプレイ内臓スピーカはしょぼいものが多いため、自分の環境に合わせ外部スピーカは別で接続することを勧める。

使っているディスプレイスピーカはこれ。【BenQ EW3280U】

スピーカ出力フィルタ

スピーカはスピーカで、通話相手側の発する余計なノイズが入ってくるとストレスなため、【VoiceMeeter Banana】を使い、ソフト的にフィルタをかける。

VoiceMeeter Bananaを入れると一気に構成が複雑になるが、仮想デバイスが2つ増え、入出力の切り替えや合成、分離の自由度が格段に上がるため導入した。

尚、さらに拡張したい場合は【VoiceMeeter Potate】にすると入出力の数が増え、機能も増える。ここでは詳細は割愛する。

外部スピーカ+VoiceMeeter構成

さて、フィルタだが上記構成図の【Physical Output FX1】に約300Hz以下の音をなますように設定した。

これは、周波数分析などはかけず実際にWeb会議を行いながら自分が聞き取りやすい音になるよう調整を施した。

VoiceMeeterBananaのスピーカEQ設定

まとめ(Web会議環境評価比較)

Web会議環境比較表
  1. ノートPC内臓マイク+スピーカの環境はとにかく最悪。マイクもスピーカも音質がとにかく悪い。
    相手の声がエコーバックされるし、マイクがキーボードとPCに一体化しているためタイピングの振動まですべて拾う。
    会議相手にとってとてもストレスを与える最悪の環境と言える。
  2. ヘッドセット or イヤホンマイクはWeb会議の品質としてはとてもよいが、耳が痛くなるのが難点。
    短時間ならよいが、長時間は健康に悪い。
  3. 最近骨伝導イヤホンマイクがWeb会議用に人気が出ている。
    イヤホンのためエコーバックはなく、耳に直接当てないため耳もいたくないが、こめかみに多少の圧迫感がある。
    そして構造上、音質には限界がある。
  4. Web会議用スピーカマイクは耳は痛くならないが、マイクが無指向で全方位から音を拾う。
    エコーバックは対策されておりノイズフィルタも入っている製品が多いが、そのためかマイクもスピーカも音質が悪い。
  5. カーディオイド型の外部マイク+外部スピーカにすることで音質の確保と耳の保護の両立を図ろうとする発想。
    スピーカ音質はヘッドセットには敵わないが、マイク音質には部がある。耳の痛みは当然皆無。
    エコーバック対策のためカーディオイド型で自分の口元の音を拾いやすくする。
    ※実際に会議相手に確認したところ、問題ないとのフィードバックを得た。

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